研究内容
– Research –
Organocatalysis toward Synthetic and Analytical Chemistry
有機触媒が導く合成や解析の化学
1
Development of Organic Reactions有機触媒の穏やかな性質を活かした反応開発:
有機触媒の穏やかな性質を活かした反応開発:
穏和な分子活性化に基づく多点相互作用を利用した精密不斉合成
有機触媒は様々な分子間相互作用を利用して基質分子を活性化します。その強度は金属触媒に比べると穏やかなため、反応を触媒するためには基質を多点で活性化することがしばしば必要です。これは触媒が基質と多点で相互作用をつくりやすいことにつながります。私たちは有機触媒ならではの多点相互作用に基づく分子認識を利用して、生体酵素でも実現できなかった不斉合成反応を開発してきました。
2
Development of Organocatalysts炭素–炭素二重結合の触媒機能開拓:
炭素–炭素二重結合の触媒機能開拓:
新しい触媒活性部位の創出
触媒活性部位に新しい選択肢が増えれば、触媒の化学はさらに広がるはずです。そのような思いで私たちは、炭素–炭素二重結合(オレフィン)の触媒機能開拓に取り組んでいます。これまでにシクロオクテンという環状化合物に焦点を当て、オレフィンを歪んだ環骨格に組み込むことにより、そのルイス塩基性に基づく有機触媒機能を創出しました。
オレフィンの置換基を変えることで触媒性能をさらに向上させられるデザイン性があり、この利点を活かして様々な用途に利用できる触媒の開発を進めています。トランスシクロオクテンの面不斉を利用した金属触媒の不斉配位子を既に開発しましたが、不斉有機触媒の開発もさらに進めています。また、オレフィンは生体内環境でも利用できる特徴があることから、タンパクなどの生体を構成する有機分子の動きや働きを解明するために、狙った環境下で特定の生体分子のみを選択的に変換・修飾することで、それらの解析を実現する触媒反応技術の開発にも挑んでいます。
Publications
- Einaru, S.; Shitamichi, K.; Nagano, T.; Matsumoto, A.; Asano, K.; Matsubara, S. Angew. Chem., Int. Ed. 2018, 57, 13863–13867.
- Nagano, T.; Einaru, S.; Shitamichi, K.; Asano, K.; Matsubara, S. Eur. J. Org. Chem. 2020, 7131–7133.
- Murata, R.; Shitamichi, K.; Hiramatsu, M.; Matsubara, S.; Uraguchi, D.; Asano, K. Chem.—Eur. J. 2024, 30, e202303399.
- Murata, R.; Yoshida, R.; Uraguchi, D.; Asano, K. Synlett 2025, 36, 69–74.
- Nagano, T.; Shimazu, T.; Ono, Y.; Kaneko, K.; Matsubara, S.; Yamanaka, M.; Uraguchi, D.; Asano, K. Chem.—Eur. J. in press (DOI: 10.1002/chem.202404011).
3
Development of Chemical Biology Tools解析技術につながる触媒反応化学: